胃炎をそのまま放置しておくと慢性化し、その影響が全身に及ぶ

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「腸化した胃」はガン化しやすい!

一般的には、胃は腸より重要視されていませんが、実は、胃は全身の健康を映し出す鏡といえます。

胃の状態には、大きな個人差があります。それは必ずしも年齢とは関係がなく、若いから胃が丈夫で健康だとはかぎりません。100歳でも、胃がきれいなピンク色でツヤツヤしている人もいれば、30代でも、老化が進み、胃の粘膜が色あせて、薄くペラペラになっている人もいるのです。

実は、日本人の6割、つまり2人に1人以上の胃は薄く、ペラペラになっています。

こうした胃の状態を引き起こしているのが、胃炎です。胃炎は、たいてい無症状で進行します。しかし、胃炎をそのまま放置しておくと慢性化し、その影響が全身に及ぶのです。そして、ついには胃ガンを発症することになります。

「胃もたれや胃痛になったことがないから、私はだいじょうぶ」という人も多いでしょう。しかし、自覚症状がないからといって、胃にトラブルがないとはいえないのです。

胃の粘膜が色あせ薄くペラペラになっていく

では、胃炎は何が原因で起こるのでしょうか。

胃炎の原因は、「ヘリコバクター・ピロリ菌」という細菌です。ピロリ菌は、5歳未満の幼少期に、感染することがわかっています。ピロリ菌に感染している母親から食べ物を口移しでもらったり、井戸水を飲んだりしたときに感染しやすいのです。

ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜にジワジワと炎症が起こり、慢性化します。慢性炎症によって胃の粘膜が傷つき、老化が進むと、30歳くらいから、胃の粘膜が色あせ、自っぽくなり、薄くペラペラになってくるのです。この症状は、「萎縮性胃炎」と呼ばれています。

萎縮性胃炎がさらに進行すると、40歳くらいから、ツルツルしていた胃の粘膜がデコボコになり、さらに老化が進みます。このデコボコした粘膜を調べると、なんと胃の粘膜が腸の粘膜様になっているのです。

これが、「腸上皮化生」という現象です。この腸化した胃の粘膜は、ガン化しやすいのです。こうして胃の遺伝子がボロボロに傷つけられた結果、60歳ごろから、胃ガンが発症しやすくなります。

ひと昔前には、胃がペラペラになっている状態は、「加齢とともに起こる自然現象で、病気ではない」とされていました。しかし、今やそんなことをいうのは、不勉強な医師だけです。

現在、50歳以上の日本人にかぎれば、8割の人がピロリ菌に感染しています。これが日本人に胃ガンが多い、大きな理由なのです。年間10万人以上が胃ガンになり、そのうち5万人が亡くなっています。

歯周病を治せば、糖尿病がよくなる?

しかも、慢性胃炎は胃ガンの原因になるだけではありません。胃炎は炎症の一つですが、体のどこかに慢性的な炎症があると、それは全身に影響を及ぼします。

例えば、歯周痛があると、歯と歯肉の間の歯周ポケットに炎症ができます。歯周病がある人は血管が硬くなり、血液がドロドロになって、血栓ができやすくなります。血栓で血管が詰まれば、心筋梗塞や脳梗塞のような致命的な病気につながることもあるのです。

逆に、歯周病を治せば、糖尿病がよくなったり、コレステロール値が下がったりすることもよくあります。

それと同じことが、胃炎にもいえるのです。しかも、歯周ポケットの炎症でさえ、全身に悪影響を及ぼすことを考えれば、より面積の大きい慢性胃炎が体に及ぼす影響が大きいのは、いうまでもありません。

胃炎を甘く見ると大病を招く

慢性胃炎が続けば、炎症が全身の血管を傷つけて、血管の老化を早め、動脈硬化へとつながるのです。そうなってしまった人は、血液がドロドロになって、善玉コレステロールの値が低くなり、悪玉コレステロールの値が高くなります。

健康な人の胃はピンク色で、ツヤツヤ、ツルツルしていて病気になりにくいのです。それに対して、心筋梗塞、脳梗塞などの血管の病気や、糖尿病などの生活習慣病の人の胃は、ガンの人と同様、褐色に色あせ、ペラペラです。

まさに、胃炎が、全身の病気を招いているといっていいでしょう。

日本人は、ときどき胃が不快になったり、チクチク痛んだりしても、「軽い胃炎だろう」「ストレスだから、そのうち治るさ」と考えて、市販の胃腸薬でやり過ごしがちです。ですが、そうした考えだと、のちのち大病を招く危険があることをまずは認識してください。

慢性胃炎は痛みなど際立った症状がないからといって、放置しておいていい病気ではありません。胃についてよく知り、胃炎があれば、積極的に治療すること。それが、全身を健康に保ち、いつまでも健康で長生きするための第一歩といってや過言ではないのです。

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