帯状疱疹後神経痛に効果がある「近赤外線療法」が話題

dan022

夜も眠れないほどつらい痛みが生じる

年齢を重ねると、目に見える外傷がないのに、痛みやしびれに悩まされやすくなります。そうした症状は、神経痛によって引き起こされている場合が少なくありません。

中でも強烈な痛みで知られるのが、「痛みの横綱」と呼ばれる帯状疱疹後神経痛です。この病気は、ボツボツとした赤い発疹ができる帯状疱疹という皮膚炎が治ったあとに発症します。

ヘルペスウイルスによって発症する帯状疱疹は、皮膚がただれたあとにかさぶたができて治ります。ところが、かさぶたが取れて皮膚はきれいになっても、顔や胸、おなかなど帯状疱疹ができた範囲に神経痛の残る病気が、帯状疱疹後神経痛です。

帯状疱疹では、皮膚炎が治ったあと、痛みが全く残らない人から夜も眠れないほど強い痛みで苦しむ人までさまざまです。強烈な痛みが数カ月、あるいは数年にわたって続くことも珍しくありません。

神経ブロックが出来ない人もいる

ほかに難治性の神経痛としては、首や上肢に痛みやしびれが現れる頚椎症やいつ足腰に痛みやしびれが走る坐骨神経痛などがあります。

通常、神経痛を和らげるためには、まず飲み薬や塗り薬による治療が行われます。しかし、これら難治性の神経痛の耐えがたい痛みの場合は、そうした治療でも、必ずしも患者さんの症状が、和らぐわけではありません。そんなとき、神経ブロック(神経の周囲に局所麻酔薬を注射する治療法)が検討されます。

ただし、神経ブロックも、注射するさいに苦痛を伴うほか、高齢の人では血圧の低下を招いたり、血液を流れやすくする薬(抗凝固薬)などを飲んでいる場合は出血の危険性があったりするため、できないこともしばしばあります。

そこで、無痛で安全に治療を受けられる、「近赤外線療法(専門的には、直線偏光近赤外線療法=SGLという)」が話題を呼んでいます。

多彩なしくみで鎮痛効果を発揮

近赤外線療法とは、偏光レンズをつけたレーザー治療器を用い、皮膚の上から直接、痛みの患部に向けて近赤外線を照射する治療法です。

光には一定の波を打つ性質があり、この波のリズムを波長といいます。ちなみに、近赤外線とは、赤外線の中で最も波長が短い0.6~1.6マイクロメートルの光線を指します。

そのように波長の短い近赤外線には、人体の奥深くまで到達し、体内で熱エネルギーを生み出す特徴があるのです。しかも近赤外線は安全で、人体に害を与える心配はほぼありません。

近赤外線を痛みのある部分に照射すると、体内で熱エネルギーが発生して温熱効果が得られます。その結果、照射部位の血流がよくなって、自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを支配する神経)の乱れが正されたり、痛みのある部位の筋肉のこりがほぐされたりして、鎮痛作用がもたらされると考えられます。

そのため、帯状疱疹後神経痛のような激しい痛みの改善も期待できるのです。また、感覚神経にも直接照射することで、痛みを和らげる作用もあるとされています。

治療を重ねるごとに痛みが和らぐ

では、難治性の神経痛の患者さんに対して、近赤外線療法はどのように行われるのかを説明しましょう。患者さんには、らくな姿勢でベッドに寝てもらいます。そして、治療者は、専用のレーザー治療器の先端を照射部位に当て、皮膚の上から近赤外線を照射します。

照射する部位は、病気ごとに異なります。例えば顔にできた帯状疱疹後神経痛では、痛みのある部位か、自律神経の集まる首の星状神経節に照射します。また坐骨神経痛では、痛みの部位や腰椎(背骨の腰の部分)の神経根に照射します。

近赤外線療法は、数秒照射しては数秒休むことをくり返します。一度に長い時間照射すると、熱を帯びてやけどを起こす恐れがあるので、こまめに休みながら行い、治療時間は10分くらいです。

近赤外線療法は、照射中から痛みが和らぐことが実感できる場合から、しばらくしてらくになる場合など、効果に個人差があります。外来で週一回ほどのペースで、5回照射を目安にしています。

現在、近赤外線療法は、筋骨格系に痛みが生じるさまざまな病気や神経痛に適用され、麻酔科やペインクリニック科、整形外科を中心に、痛みの治療に診療科を超えて利用されています。

また、子供から高齢者、スポーツ選手まで、幅広い年齢層と用途に使われています。このような特徴を持っている近赤外線療法を、帯状疱疹後神経痛で薬の治療が無効の人は、ぜひ、検討してみてください。

なお、近赤外線療法の治療費は病医院によって違います。健康保険が適用されないこともあるので、初診時に必ず確認してください。

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