糖尿病になるとアルツハイマー型認知症に3倍なりやすい①「糖尿病は、アルツハイマー型認知症の危険因子」

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年々増加する認知症

認知症の患者数は2010年で約300万人。2020年には400万を超えると推定されており、大変深刻な社会問題となっています。年々増加する認知症のうちで、最も多いのがアルツハイマー型認知症です。

九州大学主幹教授の中別府雄作先生たちは、九州大学の久山町研究グループ(主任研究者:清原裕教授)と協力して、アルツハイマー型認知症の危険因子を調べてきました。

この研究の基盤となったものは、久山町研究グループが長年にわたり行っている久山町の疫学研究です。疫学というのは、統計学的手法により病気の原因などを解明する学問のことです。

久山町は、福岡県福岡市に隣接する、人口約8000人の町です。九州大学の久山町研究グループは、1961年から50年以上にわたって久山町の住民の健康調査を続け、大変貴重な疫学データを集めてきました。

認知症に関する調査も、そのうちの1つです。認知症については、1985年から久山町の65歳以上のかたの、全員検査を行ってきました。

認知症の本格調査を開始する前は、日本では脳卒中の患者さんが多かったところから、脳血管性認知症の患者数が多いと考えられていました。

アルツハイマー型が最も多いと判明!

ところが、実際に調べてみると、そうではありませんでした。欧米と同様、アルツハイマー型認知症が最も多かったのです。

そして、アルツハイマー型認知症の人が年を追って増加しっつあることも、調査を続けるにつれてはっきりしました。それとともに浮かび上がってきたのが、アルツハイマー型認知症と糖尿病の密接な関係です。

久山町研究をはじめ複数の疫学研究から、糖尿病になるとアルツハイマー型認知症に3倍程度なりやすいというデータが出ています。

アルツハイマー型認知症になると、脳に特定の変化が起こります。アミロイドβという変質したペプチド(2つ以上のアミノ酸が特定の形で結合した化合物)が老人斑を作り、また、tauというたんばく質が異常にリン酸化され、神経細胞内にたまって神経原線維変化ができます。

実は、アルツハイマー型認知症の確定診断は、死後、病理解剖を行って、老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な病変が観察されることが条件です。

糖尿病の患者さんの場合、これらの病変が起こる確率が約2倍になることが、久山町研究で明らかにされています。

こうしたことから糖尿病は、アルツハイマー型認知症の危険因子とわかってきました。

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