すりおろしたリンゴは胃の働きを回復させてくれる

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「1日1個のリンゴで医者知らず」

西洋に昔から伝わることわざで、「1日1個のリンゴで医者知らず」というものがあります。これは、1日に1個リンゴを食べれば、その豊富な栄養素の効果で、病気になることも医者にかかることもないという意味で、リンゴの持つ優れた健康効果を教えています。

一方、東洋においては『本草綱目』という中国の古書に、リンゴに関する記述があります。

そこには、東洋医学的には「唾液などの分泌を促し、肺を養う」「熱をおさめ、気分を落ち着かせる」「食欲を出し、二日酔いを解消する」など、広範囲にわたる効能が書かれています。

また、優れた整腸作用を持つ食材で、胃腸の調子を整えて、便秘や下痢にも効果があることが昔から知られていました。

リンゴは、江戸時代に中国から日本に伝わりました。しかし、現在、広く栽培されているリンゴは、明治時代以降、アメリカから輸入された西洋種です。

ところで、子供のころ、カゼをひいて食欲がないときに、リンゴのすりおろしを食べた人がいるのではないでしょうか。

カゼをひくと、胃が弱って食欲がなくなるものです。しかし、そういうときにでも、リンゴのすりおろしなら食べることができる。食べれば、カゼが早く回復すると、知られていたからでしょう。

胃の切除で減少する消化酵素を補う

健康でいるためには、すべての臓器がバランスよく活発に働くことが大切です。

特に、食物として摂取した栄養を、体に取り入れる過程で重要なのが胃腸です。胃腸における消化・吸収活動がスムーズに行われないと、健康はありえないといっても過言ではありません。

例えば、胃ガンで胃やその一部を切除したりすると、手術後に食欲がなくなり、体重がどんどんへっていくケースが多いものです。そうした人に、お勧めなのがリンゴのすりおろしです。

実際、リンゴのすりおろしを食べた人は、食欲が出て体重がふえ、体力が回復した人がたくさんいます。

これは、リンゴに豊富に含まれている食物繊維の1つ、ペクチンという成分の作用です。ペクチンには、食べたものを消化・吸収されやすくする消化酵素的な働きがあります。胃を切除すると、胃から分泌する消化酵素がへってしまいますが、リンゴを食べることで、消化酵素の減少を補うことができるのです。

便秘や下痢の解消にも役立つ

また、胃の切除後は、食物を食べると腸内が異常発酵して、腹痛、逆流、下痢などの症状を起こしやすくなります。リンゴのすりおろしを食べると、やはりペクチンの作用で、こうした症状も改善します。なお、ペクチンは皮に多く含まれるので、皮ごと食べることをお勧めします。

健康な人でも、胃がムカムカしたときや、胃が痛いときには、リンゴのすりおろしを食べましょう。二日酔いやカゼなど、胃が弱っているときも、リンゴは胃の働きを回復させてくれます。おなかの膨満感や、便秘や下痢の解消にも大いに役立ちます。

リンゴをすりおろさずにそのまま食べてもいいのですが、できればすりおろして食べるほうがいいでしょう。なぜなら、すりおろしたほうが、ペクチンが速やかに働きますし、リンゴに含まれる栄養素が吸収しやすくなるからです。

すりおろしたリンゴは食べにくいという人は、カタクリ粉でとろみをつけてスープ状にしても、おいしく食べられます。

吸収が緩やかになり血糖値の急上昇を抑制

ちなみに、最近ではペクチンの多様な作用が注目されるようになっています。例えば、液体をぬるぬるしたゲル状にするゲル化、水分を保つ保水化、粘着性を高める粘性化といった作用です。余談ですが、ペクチンはマヨネーズの乳化剤、ケチャップの増粘剤など、食品の加工にも用いられています。

こうした作用があるため、リンゴを食べると、摂取した食物が穏やかに吸収されるようになります。糖質の消化・吸収も穏やかになるため、血糖値の急激な上昇がおさえられ、コレステロールが低下する効果も得られるのです。

リンゴは、大変身近な果物です。リンゴのすりおろしを、胃弱の改善をはじめ、健康増進にぜひ役立ててください。

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