焼いたシジミの貝殻の粉末を飲むことが肝臓病予防の健康法

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受診者の3人に1人に肝機能異常が見つかった

肝臓は、大変な働き者で、我慢強い臓器です。エネルギーの貯蓄や胆汁の生成、解毒、造血など、多くの重要な働きを一手に担っていますが、「沈黙の臓器」ともいわれるように、少々ダメージを受けても黙々と働き続けています。

そのため、肝臓病に陥っていても気付かず、人間ドックや健康診断で初めて発見される患者さんが非常に多いのです。このことは、日本人間ドック学会がまとめたデータでも明らかです。

そのデータとは、2014年の人間ドック受診者(全国で313万人)のうち、33・3%の人に肝機能の異常が発見されたというものです。つまり、受診者の3人に1人が、肝臓に異常を抱えており、高血圧や高コレステロール、肥満などを上回り、生活習慣病の中でトップとなっているのです。

昨今、問題になっているのは、C型やB型のウイルス性肝炎に加えて、アルコール性肝障害や脂肪肝の患者さんが急増していることです。暴飲暴食など、現代人の不摂生な生活習慣が関係しています。

肝臓は、アルコールなどの体にとっての毒を中和したり、食べ過ぎや運動不足で余ったエネルギーを蓄えたりする働きがありますが、不摂生が過ぎると、肝臓が疲弊して障害が生じるのです。

アルコール性の肝障害や脂肪肝を軽く考えてはいけません。放置するうちに、肝炎や肝硬変(肝細胞が壊れて肝臓全体が硬くなる病気)など、重篤な病気に陥る危険性があります。

したがって、自覚症状がなくても、健康診断などで、γ-GTP、GOT(AST)、GPT(ALT)などの肝機能数値が高くなていたら要注意です。そして、だるさ、むくみ、黄痘(皮膚や粘膜が黄色くなる症状)、背中の痛みなどの兆候があったら、すぐに肝臓の養生を実行すべきです。

肝臓病特有の症状がたちまち改善した

その養生法として、おすすめしたいのが、「シジミ」です。

シジミは、アミノ酸がとても豊富で、昔から肝臓の働きを強化し、滋養強壮に効果があるとされてきました。しかし、これはあくまでもシジミの「身」に関する話。実は、多くの家庭で捨てられてしまう「貝殻」にこそ、肝臓の働きを助ける素晴らしいパワーがあるのです。

シジミの特産地である十三湖のある青森県・津軽地方の伝説をご紹介しましょう。

時は江戸時代の中期、全国巡礼中の僧侶が、十三湖で採れたシジミの貝殻を焼き、その粉末を津軽の村人に飲ませました。すると、村人の黄痘や体のだるさなど、肝臓病特有の症状がたちまち改善したというのです。

実際、この地域では、焼いたシジミの貝殻の粉末を飲むことが、肝臓病予防の健康法として今でも続けられています。

元弘前大学医学部教授の佐々木甚一先生は、10年ほど前、シジミの貝殻の効能を科学的に明らかにするために、弘前大学医学部の研究グループと青森県産業技術センターとの共同研究に取り組みました。その結果、500℃前後の温度で焼いたシジミの貝殻に肝臓を活性化する働きがあるという、興味深い事実を発見することができました。

肝機能を改善する効果が動物実験でぞくぞく判明

シジミの貝殻は、焼くときの温度によって、貝殻の主成分であるカルシウムの構造が変化します。250℃付近では「アラゴナイト」、500℃付近では「カルサイト」という炭酸カルシウム、750℃以上では「ライム」という酸化カルシウムになります。

その中で、カルサイトを有するシジミの貝殻の粉末が、衰えた肝臓の機能を活性化し、症状を改善に導く作用のあることが判明したのです。

弘前大学医学部が行った実験では、肝機能障害を起こしたLECラットにシジミ貝殻粉末を投与したところ、3カ月後にGOTとGPTの数値が大きく降下しました。

GOTとGPTは、肝臓の中にある酵素(生体内で化学反応を促す物質)で、肝細胞が壊れると血液中にもれ出てきます。したがって、この数値が高いほど、肝臓が障害を受けていることになりますが、これらが改善したということは、シジミ貝殻粉末の投与により、肝細胞の損傷が抑えられ、肝細胞が修復されたことを表しています。

ある実験では、アルコールだけを投与したマウスに比べ、シジミ貝殻粉末とアルコールを同時に投与したマウスのほうが、生存率か高いことも判明しました。これにより、シジミ貝殻粉末は、肝臓におけるアルコールやアンモニアといった有害物質の分解能力を高め、アルコールによる肝障害の予防に役立つことがわかったのです。

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