超小型のカメラを飲み込むだけの「大腸カプセル内視鏡」

dan58

超小型カメラを内蔵したカプセル

「内視鏡」と聞けば、口や肛門から管を挿入するものと思われるでしょう。同時に、「つらそう」「痛そう」といったイメージもあるかもしれません。

しかし近年、超小型のカメラを内蔵したカプセルを飲み込むことで、消化管内を撮影できるカプセル内視鏡が登場しました。すでに2007年に小腸用が保険適用されていますが、2013年7月には大腸用のカプセル内視鏡も医療機器としての承認を受けました。

従来の内視鏡よりも簡便に検査が行えることから、大腸ガン検診の受診率の向上につながることが期待されています。

カプセル内視鏡とは、超小型カメラを内蔵したカプセルを口から飲み込むことによって、消化管内の内視鏡検査ができる医療機器です。

6mm以上の大きさのポリープを見逃すことはない

大腸カプセル内視鏡は長さ約3cm、幅約1cmほどの大きさです。

このカプセルには前後に二つのカメラがついており、ほぼ360度に近い視界が得られます。

飲み込んだカプセルは、消化管のぜんどう運動(伸縮をくり返し、内容物を肛門へ送り出す働き)によって体内を進んでいき、数時間から半日ほどで肛門から排出されます。

その間、腸のぜんどう運動が遅いときには毎秒4枚、速いときには毎秒35枚の画像を撮影します。データは腹部にはり付けたアンテナから、データレコーダーに送信され続けます。その画像を医師が見て解析し、問題がないかどうかを調べるわけです。

国立がん研究センター、広島大学、東京慈恵会医科大学の3施設が合同で行った臨床試験では、すでに大腸にポリープが見つかっている約70名の人に協力していただき、大腸カプセル内視鏡で同じように病変が発見できるかどうかを調べました。

その結果、病変の発見率は約94%と、肛門から挿入する従来の大腸内視鏡とほぼ遜色のない結果が得られました。この成績から、通常、大腸の検査で問題視される6mm以上の大きさのポリープを見逃すことはない、と考えられます。

ベッドに寝ていなくてもよく、自由に動ける

検査の前処置に関しては、従来の大腸内視鏡と同様です。撮影のために腸内をきれいにする必要があるので、検査前日から飲食に関する制限や下剤の服用をしてもらいます。

検査当日には、約2リットルの下剤を服用してもらい、何度かトイレに行って便を出します。

それから腹部にアンテナをはり付け、腰にデータレコーダーを装着します。重量500gほどのコンパクトな装置です。

準備ができたら、カプセル内視鏡を水とともに飲み込んでもらいます。

普通の薬のカプセルよりもひとまわり大きいので、一見、飲み込むのが大変そうに思えるのですが、水で流し込めば、まったく苦痛を感じることなく、スルッと飲み込むことができます。

臨床試験のさいに行ったアンケート調査でも、カプセルを飲み込むのが大変だったという人はいませんでした。

あとはカプセルが排出されるまで、運動や食事の制限はありますが、普通に動き回って構いません。検査の間、ベッドに寝ていなくてもいい、自由に動けるというのはカプセル内視鏡の大きなメリットの一つでしょう。

開腹手術が必要になるとも

すでにカプセル内視鏡が普及している海外のケースでは、病院を離れて家に帰ったり、オフィスで仕事したりしてもいいと認められることもあるそうです。ただし、電子レンジや高圧電線などの強い電磁波を発するものに近づくと、データの送信が妨げられるので、その点は注意が必要です。

また、カプセル内視鏡は、従来の大腸内視鏡と違って、医師が自由に動かすことができるわけではありません。消化管の中を進ませて、最終的に肛門から排出しなければならないので、カプセルを飲んだ後、「ブースター」と呼ばれる下剤をさらに2gほど追加しなければなりません。

また、カプセルがなんらかの理由で詰まって出てこなくなをことがあり、まれに取り出す手術が必要になることもありえます。

ただ、海外の報告によると、カプセルが出てこなくなるのは、病変があって引っかかるためで、いずれにせよ開腹手術が必要になるとも考えられているようです。

通常、飲み込んだカプセルは数時間から半日で肛門から排出され、検査終了となります。

ちなみに、カプセルは回収して廃棄しますが、これは、トイレに流して詰まってしまったら困るからです。

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