蒸しタオルをまぶたの上に載せるだけでドライアイが改善

dan61

涙の蒸発を防ぐ脂の分泌量が増える

数ある目の病気の中でも、近年、特に急増しているのがドライアイです。

ドライアイの3大要困は、パソコン・エアコン・コンタクトレンズの「3大コン」といわれています。3大コンの使用が増えるとともに、ドライアイに悩む人が急激に増え始めました。

さらに、目の乾燥には、ホルモンや加齢が関係していることもわかっています。

涙の蒸発を防ぐ脂の分泌には、男性ホルモンがかかわっているため、男性よりも女性のほうがドライアイになりやすい傾向にあります。また、加齢によっても脂の分泌量が減るので、中高年にもドライアイが起こりやすいのです。

ドライアイの治療法としては、まず、人工涙液の点眼で水分を補います。しかし、どんなに目薬をさしても涙はどんどん蒸発するので、これだけでは根本解決にはなりません。そこで、奈良県大和郡山市・松本眼科の松本拓也先生は、ドライアイに悩む患者さんに、自宅でできる方法として、「目を温める」ことを指導しています。

私たちの眼球では、まぶたにあるマイボーム腺から脂が分泌され、その脂が眼球の表面で層を形成して、涙の過剰な蒸発を防いでいます。脂が十分に分泌されないと、涙が蒸発し、目が乾燥してしまうのです。

脂の分泌を妨げるのは、マイボーム腺の詰まりです。目を温めることで脂が溶け出し、マイボーム腺の詰まりが解消されれば、脂の分泌量が増えて涙が過剰に蒸発するのを防げます。目薬で水分を補うことはできても、脂を補う薬はありません。脂の分泌量を増やす唯一の方法は、目を温めることなのです。

蒸しタオルをまぶたの上に載せるだけ

目の温め方は、蒸しタオルをまぶたの上に載せるだけでいいのです。1日1回、5~10分程度を目安にしてください。

蒸気を当てながら温めるとより効果的なので、入浴中に行うのがお勧めです。湯船に入り、湯に浸したタオルを軽く絞ってまぶたの上に載せ、冷めたら、また湯に浸せばよいですし、ぬれても気にならないので、手軽に実践できます。湯の温度は、40℃前後でよいでしょう。

ドラッグストアなどで市販されている蒸気の出るタイプのアイマスクなら、職場でも簡単に目を温めることができます。温度を維持できるのも利点です。

お茶を飲むときに、湯のみから立ち上る蒸気を当てるのもよいでしょう。入浴中、まぶたのふちを指でなぞるように軽くマッサージするのもお勧めです。

「目に膜が張ったような感じが続いている」と言って松本眼科に来られた62歳の女性は、診察の結果、ドライアイによる角膜上皮障害が認められました。角膜上皮障害とは、角膜の表面の層が傷つく障害のことで、大きな傷がついた場合は、黒目の部分が白く濁って見えるのです。

原因は、アイラインやマスカラなどの目のアートメイクによって、マイボーム腺が損傷し、脂が十分に分泌されない状態にあったためと考えられます。

そこで、松本先生は、目薬と併用して自宅で目を温めることを勧めました。すると、2カ月後にはドライアイとともに角膜上皮障害が改善しました。

顔面神経マヒのため、まばたきがしにくく、ドライアイを起こしていた70代の女性は、乾燥のため角膜に細かく浅い傷がつき、角膜上皮障害を起こしていました。松本先生が目薬を処方し、目を温めるように指導すると、ドライアイが改善され、約3週間で角膜の傷がきれいに治りました。

ものもらいや結膜下出血にも有効

ドライアイのほかに、ものもらいの治療にも、目を温めることは有効です。

昭和30年代ごろ、眼科では「温奄法」という器具で目を温め、ものもらいの治療をしていたという記録も残っています。

松本眼科でも12年前の開業当初から、近赤外線で目を温める温熱治療を取り入れています。

ものもらいは、感染によってマイボーム腺が閉塞し、中で脂が固まっている状態です。抗生物質を使用しても改善傾向がない場合、目を温めて固まった脂を排出させることが有効なのです。専用の器械を使わなくても、毎日、蒸しタオルなどで目を温めれば、徐々に吸収されていくことがあります。

目を温めると筋肉が弛緩するので、疲れ目の改善にも効果的です。さらには、目を温めることで老眼による眼精疲労の改善も期待できます。

私たちの目は、毛様体筋という筋肉を緊張させたり、ゆるませたりして、ピントを合わせています。目を温めると毛様体筋の血流が増え、働きがよくなります。そのため、加齢によって低下した調節力が改善し、ピントが合いやすくなるのです。

白目の粘膜の毛細血管が切れて充血が起こる結膜下出血も、目を温めると治りが早くなります。温めると循環がよくなり、血液の吸収が促進されるからです。出血直後は目を冷やして出血を止め、数時間たってから、目を温めるとよいでしょう。

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