ストレスが自律神経のバランスを乱す
自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスで免疫力を調整しています。昔から「ストレスは万病の元」といわれてきたのも、ストレスが自律神経のバランスを乱す元凶として作用するからです。
ストレスに対する耐性には、人によってかなりの差がありますが、どんな種類のストレスに強いか、といった体質にも、自律神経が影響しています。
大きく分けると、交感神経が優位な体質はストレスに強く、副交感神経が優位な体質はストレスに弱い。しかし、どちらの体質もそれぞれメリット、デメリットを併せ持っているので、それぞれの性質をよく知ることが、健康管理や病気治しのヒントとなります。
交感神経優位の体質を作るのは、活動的な生き方です。このタイプは元気で体力もあり、自信に満ちあふれています。
副交感神経優位の体質は、穏やかな生き方によって作られる
しかし、その特徴があだとなり、ストレスをストレスと感じないまま、ギリギリまで無理に無理を重ねてしまいます。その結果、ガンや心臓病、脳卒中などにより破綻しがちです。
これに対し、副交感神経優位の体質は、穏やかな生き方によって作られます。リンパ球が多く、免疫力の高い体質なので、本来は病気にかかりにくく、また治りやすいのが特徴です。
しかし実は、しよっちゅう体調不良や病気をくり返しているのも、このタイプ。慢性的な交感神経の刺激不足により、ストレスにうまく体を適応させることができなくなっているから、破綻を招くのです。
このように、交感神経型の破綻が、人間の限界を超えた過酷な生き方にあるのに対し、副交感神経型の破綻は、自分の能力では対処しきれない過剰なストレスに原因があります。
しかし、副交感神経優位型も、その人なりにがんばった結果、破綻に至るという点で、両者には「無理」というキーワードが共通するのです。
ひ弱な体質を作り上げたのは楽すぎる生き方
20年前は、多くのケースが、交感神経型による破綻でした。
当時は残業が盛んな時代。特に男性の場合、病気の原因は、働きすぎによる消耗がほとんどだったのです。
しかしその後、徐々に副交感神経型で破綻していく人がふえてきました。現在は、その割合も、逆転しているのではないかと思われます。
単純な働きすぎなら、30分でも1時間でも早く仕事を切り上げ、睡眠時間を延ばすことがストレスの軽減につながるでしょう。ところが、副交感神経優位型の場合は、転職なども含めたストレス対策が必要になることもあるのです。
そこで目指したいのが、楽すぎる生き方からの脱却です。
副交感神経優位のひ弱な体質を作り上げたのは、過食や運動不足、冷暖房に頼った生活です。食事面では、まず甘いものを控えてください。その一方で、積極的に外気を浴び、運動で筋肉を刺激して、交感神経を鍛えていきましょう。