足の裏のマッサージが、どの程度の効果をもたらすのか
女性は、男性に比べると便秘になりやすい傾向があります。特に出産後は、その傾向が顕著です。
産後は、腹部の内臓を取り囲む腹膜や腹筋が緩み、腹圧が弱くなります。そのうえ、慣れない育児や、不規則な生活による精神面への影響もあり、便秘になりやすいと考えられています。
宝塚大学看護学部では、このような女性たちの悩みを解消したいと思い、ある実験研究を行いました。
それは、足の裏のマッサージが、便秘に対して、実際どの程度の効果をもたらすのかを調べたものです。この研究の対象者は、女性だけでしたが、男女を問わず、便秘に悩む皆さんにお勧めしたいと思います。
今回行った足の裏マッサージは、反射区の考えに基づくものです。反射区とは、ヒトの体の各部、各臓器が足の裏に投影されているという考え方です。
腸に対応する反射区を刺激
便秘の場合、腸に対応する反射区を刺激します。そこは、足の裏の中央の、ややかかと側になります。
主に両足のその対応部を、手の親指でギュッギュッと指圧しました。指圧する強さは、押して「気持ちいい」と感じられる程度です。
実験研究は、2回にわたり行いました。一つめの研究では、便秘症状に悩む女性9名(平均年齢31・3歳)にご協力いただきました。
対象者には、実験前にほぼ同じものを食べてもらうなど、調整できる条件は、なるべく同一にしたうえで行いました。
そして、足の裏のマッサージを15分間行った日と、行わなかった日とで、腸の動きを比較したのです。
明らかにリラックスし腸の音も大きくなった!
具体的な数値として、リラックスの度合いを示す値と、腸の動きに伴って発生する音(腸音)の値を調べました。
皆さんも経験があると思いますが、精神的に緊張しているときには、便が出にくくなります。ですので、リラックスした状態を作ることは、便秘解消には大切なことだといえます。
そして、腸音は、腸の活動状態を知るための指標です。腸音の数値が高くなれば、腸が活発に動いていることを示します。
結果は、足の裏マッサージを行うと、行わない場合より、リラックスの度合いを示す値、腸音の値ともに、明らかに上昇していました。
つまり、足の裏マッサージを行うと、よりリラックスした状態になり、腸の動きも活発になることがわかったのです。