カルシウムや牛乳が大腸がんのリスクを下げる

予防効果は「ほぼ確実」

日本ではあまり知られていませんが、カルシウムによる大腸がんの予防効果は世界的に「ほぼ確実」とされています。カルシウムというと、一般に骨租しょう症との関連で積極的に摂取することがすすめられていますが、大腸がんとの関係にも注目していただきたいと思います。

日本人は、大腸がんをはじめ、胃がんや食道がんなど、消化器がんにかかりやすい傾向があります。

中でも大腸がんは、男女ともに戦後、急増したがんです。欧米型のライフスタイルが普及したためと考えられていますが、日本人に大腸がんが多い理由の一つとしで、カルシウムの摂取不足も関係しているかもしれません。

九州大学予防医学教室の吉野純典教授を中心とする研究グループは2000年から3年間かけて、福岡市とその近郊の大腸がん患者と、大腸がんでない住民を対象に疫学調査を行いました。食品の摂取量や頻度、喫煙、飲酒、職業、日常生活での身体活動量などを尋ねて、大腸がんとの関連を調べるという方法です。

この研究に参加したある医師は、カルシウム摂取と大腸がんのリスクとの間に、統計学的に意味のある関連があることを確認しました。

1日700mg以上カルシウムを摂取する

カルシウム摂取量の最も多いグループは、最も少ないグループに比べて大腸がんのリスクは0・64倍で、36%も低いことがわかったのです。

ただし、調査対象者に「どれくらい食べているか」を聞くという方法でしたから、実際のカルシウム摂取量は20%ほど割り引く必要があります。それでも、1日700mg以上カルシウムを摂取していれば大腸がんのリスクが低下すると考えることができます。

カルシウムを豊富に含む食品には、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品があります。牛乳については、摂取量の最も多いグループと最も少ないグループの間で、大腸がんのリスクに大きな差がありました。摂取量の多いグループのほうが、約40%もリスクが低いのです。

ほかの乳製品については関係がはっきりしない

世界的な研究でも、カルシウムや牛乳が大腸がんのリスクを下げることは「ほぼ確実」とされています。

ところが、そのほかの乳製品については、この関係がはっきりしません。牛乳に比べて、チーズやバターは脂肪が多いためかもしれませんが、大腸がんのリスクを下げるという拠証は世界的にもはっきりしていないのです。

また、カルシウムが大腸がんのリスクを下げるといっても、とり過ぎると結石ができたり、前立腺がんのリスクを上げることが指摘されています。ですから、カルシウムをサプリメントから大量にとることはおすすめできません。

とはいっても、カルシウムは多くの日本人が不足している栄養素の一つですので、大腸がんだけでなく、ほかの疾患の予防のためにも、カルシウムを多く含む食品を積極的にとるように心がけてください。世界がん研究基金と米国がん研究所による報告書には、このほかにも食品や栄養素とがんの関連について記されています。

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加