前立腺肥大症の治療:薬物療法

さまざまな治療法が次々と登場

前立腺肥大症の治療は、かつては抗男性ホルモン薬や植物エキス製剤などを中心とした薬物療法と手術だけでしたが、最近はさまざまな治療法が登場しています。命に関わる病気ではありませんので、医師とよく相談して患者さん自身の意思で治療法を決めることが大切です。

ここでは、標準的治療法として行われている薬物療法について解説します。

●α1遮断薬

膀胱の出口や前立腺には蓄尿を司る交感神経が分布しており、興奮するとアドレナリンを分泌します。アドレナリンが前立腺の平滑筋にあるα1受容体に結合すると、膀胱の出口や前立腺が収縮して尿が出にくくなります。

前立腺肥大症の第一選択薬であるα1遮断薬は、α1受容体の働きを抑えることで尿を出やすくし、残尿や頻尿などを改善します。

●抗コリン薬

頻尿や尿意切迫感など、膀胱の刺激症状によって起こる過活動膀胱は、しばしば前立腺肥大症と合併します。これらの症状が“遮断薬で改善されない場合は、勝脱の過剰な活動を抑える抗コリン薬を併用します。

なお、残尿がある場合は排尿困難を悪化させる可能性があるので、使用を控えます。

●5α還元酵素阻害薬

前立腺の肥大は、テストステロンという男性ホルモンが酵素(5α還元酵素)の作用でジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンに姿を変えることによって生じます。

最近登場した5α還元酵素阻害薬のデュタスリドは、5α還元酵素の作用を阻害し、DHTへの変換を抑制する働きがあります。抗男性ホルモン薬より副作用が少ないのが特徴です。

臨床試験の成績では、半年間の服用で前立腺が3、4割解小、さらに前立腺に異常があると数値が高くなるPSAが服用前の半分の値になることが報告されています。また、未治療もしくは他剤で治療している人に比べて、尿閉の発生率や手術をしなければならないケースを減少させることも明らかになっています。

●抗男性ホルモン薬

前立腺の肥大には、男性ホルモンが関与しています。抗男性ホルモン薬はその作用を阻害し、前立腺を縮小させて、閉塞症状を改善する働きがあります。

しかし、勃起障害(ED)や発汗などの副作用が起こりやすくなるため、高齢・合併症などから手術にリスクがある、肥大が大きい場合(100g以上)など、限定的に用いられています。5α還元酵素阻害薬が出てからはほとんど使われていません。

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