耳管開放症の手術療法の選択は生活スタイルを考慮

安全性の面からでは「耳管ピン」

耳の症状が1日中、または週の半分以上にわたって現れるような中等症以上であれば、手術療法が

検討されます。現在行われている治療には、シリコンの細い板で耳管の隙間を埋める「耳管ピン挿入術」、人工の耳管を挿入する「人工耳管術」があります。また、耳管の周囲の脂肪組織が少なくなったために耳管に隙間ができる患者さんには、脂肪組織に脂肪を注入する「自家脂肪織耳管内粘膜下注入移植術」が行われます。

安全性の面からいうと、東北大学耳鼻咽喉科の小林俊光教授が開発された「耳管ピン」が推奨されますが、治療が困難な重症患者さんには向かないことがありますが重症のなかでも比較的軽い場合は、「耳管ピン」がよい場合が多いと考えます。

ただし、耳管ピンは耳管に栓をするしくみですから、飛行機に頻回に搭乗する人にとっては気圧調整ができなくなるという可能性が生じます。

自分の脂肪を用いておこなう「自家脂肪織耳管内粘膜下注入移植術」

一方の「人工耳管」は、チューブ状で中心部が空洞になっているため、原理的には飛行機にも搭乗することが可能です。手術時問は1時間程度ですみます。

「耳管ピン」「人工耳管」の二つは、いずれも耳管に異物を挿入するものです。挿入物の定期的なチェックのため、生涯にわたって通院しなければなりません。その意味では、脂肪を注入する「自家脂肪織耳管内粘膜下注入移植術」は、自分の脂肪を用いるため、完治すれば通院する必要もなく便利です。

「自家脂肪織耳管内粘膜下注入移植術」は1回の手術で5割以上の方がよくなっています。1回手術をしてうまくいかない場合でも、数カ月後に再度行えば、成功する確率が高くなります。回数を重ねるだけ効果が出てくる方法といえるでしょう。

ただしこの方法は年齢制限があるので注意が必要です。50歳までが適応年齢といわれています。それ以上高齢になると、脂肪そのものの再生能力が低下するためです。しかし、近い将来再生医療の進歩で生着力を増加できれば高齢者にも適応が拡がる可能性はあります。

耳管の周囲に移植する脂肪は腹部から摘出します。女性の場合は見かけはやせている人でも腹部の脂肪組織は充実しているので女性向きの治療法といえるかもしれません。自分の脂肪を耳管の周囲に移植して、症状が改善した若い女性の患者さんは大勢います。

どの治療法にするかは、生活スタイルを考慮した上で、医師と十分相談し選択するとよいでしょう。

術後は過労と運動不足に注意して再発を防ぐ

人工耳管、耳管ピンを挿入した場合は、術後2週間に1回程度通院し、安全性の確認などを行います。細菌感染などの合併症を防ぐために、術後2週間程度は耳に水を入れないように洗髪は控えましょう。また自分で抗生物質の点耳薬をつけて、傷口を細菌から守ります。

再発を防ぐには、無理なダイエットをしないこと、過労に注意しストレスをため込まない生活を工夫することが大切です。また普段から運動不足の場合、血液循環が悪化し低血圧、さらには病気の再発につながりやすいので注意しましょう。

運動は、激しいスポーツよりも精神的にリラックスできるもの、柔軟性も保つことができて血行も促進されるヨガなどがおすすめです。

日常生活のなかで、気持ちよさや体がラクになることを追求してみてはいかがでしょう。

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