補助人工心臓の第一の目的は「心臓移植までの橋渡し」

命を救うことが補助人工心臓を使う目的

「現在は、心臓手術そのものが格段に進歩しています。そのため、補助人工心臓が開心術後の重症心不全に対して用いられることは非常に少なくなっています。」とはいっても、心不全はいろいろな原因で起こります。「一番多いのは、拡張型心筋症を代表とする突発性心筋症です。この病気の患者さんすべてというわけではありませんが、心不全にまで至る人は少なくありません」(心臓外科が専門で補助人工心臓に詳しい東京大学大学院医学系研究科の小野稔教授)

特に患者さん本人や家族だけでなく、担当医師も心臓移植が必要になるとは露ほども思っていない人で、移植が必要なほどの重い心不全になることがあるそうです。

「心不全に対する治療は、幾つかのステップを踏んで進めます。水分や塩分の制限から始まって内服薬治療、CRTといってペースメーカーを使って心臓のポンプ機能を取り戻す治療、点滴で強心薬を用いるなどの治療です。こうした治療で多くの患者さんは回復しますが、それでも良くならない場合、、装置を使った治療へ移っていきます。その中で、最重症心不全の患者さんに付けられるのが補助人工心臓。つまり、命を救うことが補助人工心臓を使う目的です」

補助がなければ助からない患者さんの命を救う

こうして補助人工心臓を付けているうちに、心臓機能がある程度回復してくる人は10~15%だそうです。その場合は、補助人工心臓を取り外し、補助人工心臓なしの生活に戻ることができます。

「重症心不全からの機能回復を助けるという意味では、開心術後の治療と用途は似ています。つまり、自分の心臓機能が回復するまでの橋渡しの役割です」

補助人工心臓を付けても、大多数の患者さんは、いずれ心臓移植が必要になるそうです。そのため、補助人工心臓の第一の目的は「心臓移植までの橋渡し」と言われています。

「しかし、日本での心臓移植の件数は、米国の100分の1程度です。今後増えたとしても、米国の10分の1まで増えることはあり得ないでしょう。その意味で、日本では補助人工心臓は『移植への橋渡し』とともに、『重症心不全からの回復への橋渡し』として使われることも重要です」

初めから「移植への橋渡し」として補助人工心臓を使う人もいますが、日本ではまだあまり多くないのが現状です。重症心不全に陥って装置による補助がなければ助からない患者さんの命を救うこと。これが日本での補助人工心臓の用途として一番多いというわけです。

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