欧米では補助人工心臓を長期的な在宅での治療にも活用する「デスティネーション・セラピー」

日本では認められていない

日本では、補助人工心臓は、自分の心臓機能が回復するまでの橋渡しの役割です。

一方、欧米では補助人工心臓によるデスティネーション・セラピーという治療も始まっています。

これは日本語に直訳すると意味が分かりにくいので、意訳して『補助人工心臓による長期在宅治療』と呼ばれています。

どういう治療か。重い腎不全に対して行われる人工透析療法をイメージすると分かりやすいでしょう。

「人工透析は、腎臓移植をしたり人工腎腋を体に取り付けたりすることができないので、それに代わるものとして行うものです。体のほかの機能が維持できる限り、腎臓の機能を人工透析によって肩代わりしようというわけです。これと同じように、補助人工心臓を心臓に代わるものとして取り付け、使っていこうという治療がデスティネーション・セラピーです」

欧米でこうした治療が可能なのは、日本よりも多くの種類の補助人工心臓が承認されているためだそうです。

「すでに何種類かは、デスティネーション・セラピーに対する使用の安全性が臨床試験で確認されています。そのため、デスティネーション・セラピーの目的で補助人工心臓を付ける患者さんが徐々に増えています」

日本では、まだどの機種もデスティネーション・セラピーが認められていません。今後、認められるかどうかについても不確定だそうです。

増えていくことは予想される

「米国では、補助人工心臓を付けると1~2カ月で退院し、自宅での生活に戻っています。当院の患者さんは補助人工心臓で2年以上の期間、心機能を補助することを目標にしていますが、実際には4年以上付けていた患者さんもいます。

欧米の基準では2年以上付けていると、デスティ、ネーション・セラピーとほぼ同等と見なされます。したがっで、心臓移植を待つ間、心機能を補助する目的で付けても、結果的にデスティネーション・セラピーに移る例が出てくるだろうと思います」

デスティネーション・セラピーを受けるためには、幾つかの条件があります。

「欧米の基準では、心臓移植を受けられない人がデスティネーション・セラピーの対象です。高齢者、ほかの病気がある人、がんがある人などは心臓移植を受けられないことになっており、そうした移植の適応外の人がデスティネーション・セラピーの対象になるのです。心臓移植の対象者とデスティネーション・セラピーの対象者は、それぞれ別のグループに分かれます」

また、心臓移植を待つ間の橋渡しとして補助人工心臓を付けたものの、途中で「移植はしない」と考えが変わることもあります。そうした場合は、結果として補助人工心臓を付けたまま生活するデスティネーション・セラピーに移行することになります。

日本ではデスティネーション・セラピーは認められていませんが、欧米と同様に結果としてデスティネーション・セラピーに移っていく例が増えていくことは予想されます。

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