「造影マンモグラフィ検査」の有効性の確立には症例の積み重ねが必要

造影マンモグラフィは必要ないのでは

一般には若い間は乳腺密度が高くても年齢を重ねると乳腺は脂肪に置き換わり、次第に薄くなっていくと考えられています。しかし、出産・授乳経験のない、あるいはホルモン補充療法を行っている女性は、高齢になっても乳腺密度の高い状態が続いています。

そのため、乳がんがあっても、通常のマンモグラフィ検査では、なかなか画像に映し出せないという問題がありました。

「あるとき、70代後半の女性が乳房にしこりを感じると訴えて当院を受診されました。1cmほどのしこりです。この女性は、出産・授乳の経験がなく、若い方と変わらないくらいに乳腺が厚い状態でした。乳腺が発達している患者さんには、超音波検査が有効です。そこで超音波検査をしたところ、しこりが小さい影として検出されました。その影の部分に細胞診を行った結果、悪性腫瘍の乳管がんという診断がつきました」

同じ患者さんに対して、水谷院長は造影マンモグラフィ検査を試みたそうです。その結果、超音波検査とまったく同じ箇所に、乳がんが鮮明に描出されたと言います。

「超音波検査で検出できるのであれば、造影マンモグラフィは必要ないのではないか。あるいは、従来のマンモグラフィと超音波検査を組み合わせれば、それで十分ではないかという意見もあるでしょう。しかし、超音波検査では、疑わしい影はとらえられても、良性か悪性かの区別の難しい場合があります。そのため、疑わしい影が見つかれば、細胞診、針生検などの針を刺して調べる検査を行う必要があります。その結果、実は良性だったという場合もあるのです」

多くの症例を重ねていく必要がある

これに対して、造影マンモグラフィでは、乳腺だけでなく良性腫瘍も背景に落として、悪性腫瘍だけを映し出す可能性が期待されています。

「完全に悪性腫瘍だけを描出できるとは言い切れませんが、その可能性は大いにあります。造影剤で悪性腫瘍だけをあぶり出し、画像として描出するのです。これが完全かどうかについては、今後多くの症例を積み重ねていく必要があります」

水谷院長は、「最新マンモグラフィは乳房画像診断に大きな福音をもたらす」と言います。

「がんの有無を調べる存在診断だけにとどまらず、良性か悪性かの鑑別診断、がんがどこまで広がっているかの広がり診断においても、造影マンモグラフィ検査は大いに力を発揮すると考えられるからです。それが証明されるには、多くの症例を重ねていく必要があることは言うまでもありません」

今後は、得られた画像を分類して、どのパターンならがんの可能性が高く、どの場合は可能性が低いのかを明らかにしていく必要があります。また、閉経前の女性では月経周期が画像に大きく影響を与えることがわかっており、月経周期がどの程度造影に影響を与えるかを見極めることも課題とされています。

水谷院長は、「この技術をぜひ日常の臨床に生かしていきたい」と話しています。

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