骨折の新しい治療:低出力超音波パルス治療

微弱な超音波が折れた骨の修復を促進

骨折の治療は、「整復」と「固定」が基本です。整復とは、骨がずれている場合に牽引や手術などで正常な位置に戻すこと。整復の後、または骨がずれていなければ、そのまま骨をギプスや副木、金属のピンワイヤーなどで固定します。

その後は、骨癒合(骨がくっつくこと)するまで、自然治癒力に任せるのが一般的です。期間は数カ月から、骨折の部位・程度によってはそれ以上要する場合もあるため、日常生活や社会に早く復帰するには、骨の癒合を早く進めることがカギになります。

松井秀喜選手はニューヨーク・ヤンキースに在籍していた時、試合中に手首を骨折しましたが、その4カ月後には4打席連続安打の華々しい復活を見せました。その際に用いたのが超音波を用いた骨折治療。正式には「低出力超音波パルス治療」と呼ばれるものです。

「微弱な超音波を骨折部位に照射すると、骨癒合が促進されることが明らかにされています。使用目的は二つあり、一つは「新鮮骨折」、すなわち骨折した直後に用いて骨癒合の期間を短縮するためです。海外の臨床試験では、足のすねの骨や、手首の骨の新鮮骨折に超音波を照射したケースは、照射しないケースと比べ、治癒期間が約4割短縮されることが証明されています。

もう一つは治療をして3~6カ月経過しても骨のつきが悪く、このままでは骨癒合が得られないという「難治性骨折」に、追加の手術をせずに骨癒合を図る目的で使用します」

と話すのは、帝京大学医学部整形外科学主任教授の松下隆医師です。

同大学では、先進医療として日本で初めて新鮮骨折に対する超音波骨折治療法を導入しました。現在では、全国で200カ所以上の医療機関が実施しています。

この治療が広く普及してきた要因として、「テクノロジーとしては先進的なものでありながら大掛かりな医療設備を必要とせず、簡便で安全に行えることが大きなポイント」と松下医師は解説します。

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加