医者と患者にとって大事な「ヘルスコミュニケーション」

コミュニケーションの本質は「共有する」こと

ヘルスリテラシーとは健康を決める力であり、情報に基づいた意思決定ができることです。そのためには、信頼できる情報を入手しなければなりません。それは簡単でしょうか?また、それを理解することはどうでしょう?

アメリカでは1980年代から、「ヘルスコミュニケーション」という言葉が使われるようになってきました。専門家が健康情報を伝えるための戦略のことで、そのためには研究を積み重ねた上で提供すべきという考え方です。

「ヘルスコミュニケーション」が必要になったことは、それが決して容易ではないことを表しています。コミュニケーションは、日本では伝えるという意味で使われますが、本来は共通項をつくることです。双方向的なもので、情報交換により「情報を共有する」ことを意味します。

例えば、結婚により生活を共にするという作業は、いかにお互いの経験してきた世界が違っているかを共有することです。

保健医療の専門家(医療者)と非専門家(患者)の住む世界では文化が違います。常に健康について考える癖がついている文化と、できればそのことは考えなくて済むようにしたいという文化とも言えるでしょう。

両者のコミュニケーションが成立するためには、言葉や知識、役割や立場の捉え方、コミュニケーションの目的といった前提が必要です。コミュニケーションの目的には、一方向的に意図を持って「相手に働きかける」ものと、人間関係をつくるために行う「情報共有」そのものがあります。医療者と患者ではどうでしょうか。

医療者は説明すれば誰でもわかるはずと思い、専門用語だと気づかず使い、質問がなければわかっていると思い、決めたことは実行してもらえるはずと思って話をしがちです。

しかし、患者はリスクや診断などを聞いた時点で動揺してしまい、頭が真っ白になってしまうことも多いものです。そのため、よくわからないのに「はい」とうなずき、何がわからないのかもわからず、帰宅後にインターネットで調べるなどということが起こってしまいます。

患者や市民が強く自己主張をしそうなアメリカでさえ、こうしたコミュニケーションギャップがあることがわかってきました。このギャップを埋めるためには、患者や市民のヘルスリテラシーの向上に加え、医療者には相手の置かれた状況や文化を理解する姿勢が求められています。

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