橋本病は無症状な場合が多いために気づきにくい

発症してすぐにはホルモン量が低下しない

橋本病特有のむくみや気力低下という症状は、初期のうちから現れるわけではありません。その理由は、甲状腺が甲状腺ホルモンを貯蔵する働きを持っていることにあります。

甲状腺の中の濾胞細胞はボール状の中が空洞の細胞ですが、ヨードを使ってつくり出した甲状腺ホルモンのうち、すぐに使用されない分を貯蔵しているのです。その量は1日の必要量の約2カ月分といわれています。

つまり、たとえ甲状腺が炎症を起こして新たに甲状腺ホルモンを産生できなくなったとしても、しばらくは蓄えた分でなんとかできるということです。

このため初期には、血液中の甲状腺ホルモンの量を調べても異常が見つからないことになります。甲状腺ホルモン量の低下が見られない例は、橋本病罹患者の、実に70%に及んでいます。

不足したホルモンを薬で補う治療を続ける

このように、橋本病は無症状な場合が多いために気づきにくく、診断が下されるまでには時間がかかることが多い病気です。しかし、いったん正確に診断されれば、治療は極めてシンプルです。甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなった分を、甲状腺ホルモン薬(サイロキシン)で補充する治療を行います。

具体的には血液検査でホルモンの不足量を調べ、不足分だけ薬で補います。そのため、患者さんの状況によって薬の量は異なります。薬は少量から服用を始め、数カ月かけて様子を見ながら増量していき、適量を決めます。

体内にあるのと同じ甲状腺ホルモンを投与するのですから、副作用はほとんどありません。ただし決められた用量をきちんと服用しないと甲状腺ホルモンの量が低下してしまうので、症状が再発します。

人間ドックなどで甲状腺ホルモン値や抗体値の検査が行われていれば、症状が現れる前の橋本病も見つけられます。そうしたケースでは、半年に1回程度の定期検診だけで、薬を飲まずに経過観察を受けている人が、たくさんいます。まずは検査を受けることが大切です。

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