見過ごせない2025年問題

75歳以上だけが倍増する

「2025年問題」という言葉をご存知でしょうか。この年は高齢者人口の急激な増加が見込まれ、社会保障の増大が懸念される社会問題として、マスコミなどで取り上げられています。しかし、これは社会保障だけでなくロコモとも大きなかかわりがあるのです。

2010年日本の全人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は22%を超え、世界中のどの国も経験したことがない「超高齢社会」(65歳以上が全人口の21%以上)に突入しています。人口問題研究所によると、2006年の全人口に対する高齢者の割合は20・8%でしたが、2025年には30・5%に増加します。

この増加は人口にして約1000万人。これだけでも膨大な数ですが、注目すべきはそのほとんどが75歳以上という点です。つまり、65歳~74歳までの人口は現状とあまり変わらず、75歳以上だけが倍増するという状態です。

ロコモがより深刻なものに

そして、このことがロコモをより深刻なものにしていると警鐘を鳴らしているのが、名戸ケ谷病院の副院長・整形外科部長であり、「ロコモチャレンジ!推進協議会」副委員長も務める大江隆史医師です。

大江医師が勤務する千葉県粕市の名戸ケ谷病院は、すべての救急車を受け入れることで知られています。その現場でここ数年、整形外科に運ばれる急患の内容が大きく変わってきたと言います。

「以前は交通事故や若者のケガが大半でした。ところが、ここ数年、高齢者が急増しています。しかも、以前運ばれた人が、今度は違う箇所を骨折し、また運ばれてくるといったケースが目立つのです。医者の立場からすれば、ただ骨折を治療するだけでは根本的な解決にはならないと感じています」

高齢者が、しかも75歳以上が爆発的に増えることが、ほぼ間違いない日本において、すでに医療現場では骨折やその他の運動器の疾患による患者が急増しています。それは同時に、車椅子を使用しないと移動できない、あるいは要介護や寝たきりの高齢者の増大を意味しています。

2025年間題を目前にし、ロコモがいかに見過ごすことのできない問題であるかがわかるはずです。

要介護の25%がロコモによるもの

ロコモは運動器の働きの低下により、将来的に寝たきりや要介護になる恐れがある状態のことです。では、具体的にはどのような要因、疾患で寝たきりや要介護になるのでしょうか。

厚生労働省による2007年の国民生活基礎調査によると、介護が必要になった(要介護と要支援)要因としてもっと多かったのが「脳血管疾患(脳卒中)」(23・3%)でした。次いで「認知症」(14・0%)、「高齢によ
る衰弱」(13・6%)、「関節疾患」(12・2%)、「骨折・転倒」(9・3%)と続きます。

運動器の機能不全が要因となるものは、全体として約4分の1にも達しています。しかし、その関心が低いことを大江医師は警告します。

「世間一般には脳卒中や認知症にはとても関心が高く、いろいろ予防を実践している人も多いですよね。しかし、運動器についての疾病に対してはほとんど無関心なのが現状です。ロコモ対策の必要性を強く感じるのは、そういうところにもあるわけです」

しかも、ロコモは単に運動器の機能低下にとどまりません。ロコモにより運動不足になれば、メタボリックシンドロームを誘発する可能性が高まります。結果、高血圧や高血糖となり脳血管疾患となってしまうことは十分に考えられます。

また、動くのが困難なため、生活の行動範囲が極端に狭まり、それが引きこもりを引き起こし、認知症につながるリスクも高まると考えられているのです。

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