糖尿病の新しい治療:Ⅰ型糖尿病の膵臓移植

インスリンの体内産生を細胞移植で促す

糖尿病は血糖値を調節するインスリンというホルモンの分泌が低下したり、作用が弱くなったりすることが原因で起きる病気です。インスリンがまったく、あるいはほとんど分泌されない「1型糖尿病」と、インスリンの量が少ない、またはインスリンが分泌されていても、その働きが悪い「2型糖尿病」に分けられます。

1型糖尿病の治療はインスリンを自分で注射して補う「インスリン療法」が基本です。膵臓移植は、インスリン療法を行っても血糖値をうまくコントロールできず、糖尿病の急性合併症である低血糖発作を来しやすい患者を対象とした治療法です。

「膵臓移植では、ドナー(臓器・組織の提供者)の膵臓からインスリンを分泌する膵臓という細胞を特殊な技術で分離して純化し、一定以上の数と純度が認められた場合にレシピエント(患者)へ移植します。移植後は自分の体でインスリンを作り出せるようになるので、糖尿病の根治につながる治療法としで期待されています」と話すのは、国立病院機構千葉東病院の剣持敬医師です。

膵臓移植は米国で1974年に開始され、国内では2004年に初めて実施されました。同院は日本で初めて膵臓の分離に成功し、国内2例目となる膵臓移植を行っています。

「膵臓移植の適応基準は、インスリンがどの程度分泌しているかを示す血清Cペプチド濃度(CPR)がゼロに近く、糖尿病専門医の治療によっても血糖コントロールが困難な患者さんとされており、1型糖尿病が中心となります」

膵臓移植を受けるには、糖尿病主治医が「膵臓移植適応検討委員会」に申請を行い、適応が認められればレシピエント登録をして膵島の提供を待つことになります。現在、待機者は全国で約130人です。

実は国内の膵臓移植は2007年3月以降、中断されていました。膵臓分離の際に用いる酵素に午の脳の成分が含まれ、BSE(午海綿状脳症)の感染の可能性が否定できないことがその理由です。

しかし、哺乳動物由来の成分を用いない酵素を使用できるようになったため、2011年中に再開されることが決まり、併せて「高度医療評価制度」の下で臨床研究も開始されることとなりました。

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