膵島移植の進展は、1型糖尿病患者にとって大きな救済

新たな免疫抑制療法で臨床研究を実施

2012年から実施される臨床研究は、長期にわたり膵臓を生着させることを目指し、新しい治療プロトコルで行われます。

膵臓移植では移植後の拒絶反応を抑制するために、免疫抑制療法を行います。移植早期に行う導入療法と慢性的に投与する維持療法に分かれ、それぞれ異なる薬剤を投与しますが、生着率の向上にはこの免疫抑制療法の改善が必要でした。

今回の臨床研究は、海外での膵島移植8例の全てでインスリン離脱の結果が得られた、効果的な免疫抑制療法で実施されます。

この新しい免疫抑制療法では、導入療法に用いられていた免疫抑制剤の種類を変え、移植した膵臓細胞を攻撃してしまう炎症性物質のTNF・αを抑える製剤であるユタ、ネルセプ下が追加されました。

また、維持療法として投与される免疫抑制剤も従来から使用していたタクロリムスと、腎移植などにも用いられているミコフェノール酸モフェチルの組み合わせに変更されています。

臨床研究の実施期間は2年間で対象は20名、一定の選択基準をすべて満たした患者となります。実施医療機関は、同病院を含めた6施設(東北大学医学部附属病院、福島県立医科大学附属病院、大阪大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院、福岡大学医学部附属病院)で、これらの施設が直接申請の手続きを行います。

膵臓移植と異なり、膵島移植の場合は保険診療の適応はありません。原則的に医療費は全て自己負担で、同院の場合は約450万円となっています。ただし、臨床研究にかかる費用は文部科学省の「橋渡し研究支援プログラム」から助成されるため、患者負担は大幅に軽減されます。

臨床研究が始まると従来法を含めた膵島移植の優先順位は、①これまでに膵島移植を受けたことがある人、②臨床研究に参加する人、③臨床研究に参加しない人、となります。

臨床研究に参加できない患者さんが移植を受けるためには、お待ちいただくことになりますが、安全性と有効性が確認されれば保険適用の道が開かれることになります。根治につながる膵島移植が、糖尿病のスタンダードな治療となることが期待できます。

膵島移植の進展は、1型糖尿病患者にとって大きな福音となる可能性を秘めていると言えそうです。

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