医療の対象にならないと病気とは呼ばない?

紛れもない苦痛を伴うが「疾病」としては不明な点が残されている

「慢性疲労症候群」という病気を、ご存知でしょうか?原因不明の強度の疲労が、長期間(6カ月以上)にわた
って続く病気です。アメリカではウィルス感染が関連しているという研究が進んできているものの、医学的な解明はまだ途上にあります。

『ティファ二-で朝食を』、『ピンクパンサー』で知られる映画監督のブレイク・工ドワースが患者であったことが知られています。日本では、医療の対象としての対応が不十分であると言われており、患者が動けないと語ること、訴えること (=ナラティブ) こそが、この病気に注目する重要なカギとなっています。

果たして、医学によって明確に診断や治療できないと、病気ではないのでしょうか?医療人類学や医療社会学は病気とは何かという見方について教えてくれます。英語では病気に対する英語は主に3つあり、「disease」、「illness」、「sickness」が使われています。

それぞれ対応する日本語で区別してみると、「disease=疾病」は医学的な診断や説明の可能なもの、「illness=痛い」は本人がそれをどう感じ受け止めているかというもの、「sickness=病気」は、周囲や社会がそれをどう見るかというものです。

慢性疲労症候群は、「疾病」としては不明な点が残されていますが、患者さんにとっては紛れもない苦痛を伴う「病い」です。そして、名称が誤解をされやすいこともあり、「精神的なものでは」、「怠けているのでは」などと、本人の責任ではないにも関わらず、偏見や差別の目で見られることもある「病気」です。

医療化が必要なのに、まだ十分手が差し伸べられていないこうした「病い」や「病気」は、他にも多くあります。適切な情報を得て、偏見を持たず、支援をしていくことが必要です。医療化されているものもされていないものも、「個人の経験」 や「社会の見方」という視点を忘れてはならないと言えます。

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加