新しい情報を脳に与えることが大切

中高年になると行動がワンパターンになりがち

医師・医学博士の加藤俊徳先生は長年、脳の研究を続けていますが、脳にはその人ごとに、はっきりとした個性があることを確信しています。過去の研究者たちが想像したよりも脳はもっと個性的で、機能や回路の成長もそれぞれ異なるのではないかと思っています。

その仮説をもとに生み出されたのが、「脳番地」という概念です。これは、「見る」「聞く」「話す」といった脳の役割分担を表す言葉で、成長とともに脳番地の形と機能が変化していきます。

例えば、「人の名前が思い出せない」といった物忘れのたぐいは、脳のごく一部の、記憶にかかわる脳番地に老化が見られるだけなのです。特に、脳内の「海馬」と呼ばれる部分は最も老化しやすく、40代から萎縮する傾向が見られます。ところが、記憶にかかわる海馬は、単独で働くのではなく、ほかの脳番地と連動して働くのです。

具体的には、私たちが一生懸命、何かを覚えようとしたり、新しいことに挑戦したりしようとするときに海馬は活発に働き、記憶として蓄えようとします。これは、思考や感情に関係する脳番地と連動しているからです。

つまり、「最近物忘れが増えた」「人の名前が思い出せない」と感じたら、記憶力を鍛えるのではなく、思考力を高めることが有効なのです。新しい人間関係を作るように努め、コミュニケーションを図って情報交換の場を増やしてみましょう。必ず記憶力がアップするはずです。

実は、この「思考系の脳番地」と「感情系の脳番地」こそが、中高年ほど成長させやすい脳細胞なのです。

私たちは、オギャーと生まれてから灰になるその日まで、未熟な脳細胞(潜在能力細胞)を山ほど持っていて、これを、どれだけ使っていくかが、脳の成長のカギとなっています。

使われていない潜在能力細胞は、通常、その人にとって苦手なことに関係する脳番地にあります。数字が苦手だったり、感情を表すのが下手だったり、運動が不得手だったり。これらも、好奇心を持ってチャレンジしてみると、潜在能力細胞のスイッチがONになり、思いがけない自分に出会うはずです。

その潜在能力細胞活性化の助けとなるのが、経儀や知識の蓄積で成長する「思考系の脳番地」と人との交流によって成長する「感情系の脳番地」です。

中高年になると、どうしても保守的になり、嫌いなものは嫌い、苦手なものは苦手、と行動がワンパターンになりがちです。すると、同じ脳番地だけを行き来するだけに終わり、脳の使い方に偏りが出てしまいます。それが、認知症の原因にもなるのです。新しい情報を脳に与える大切さがよくわかるのではないでしょうか。

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