「猫ひっかき病」とはどんな病気?

動物由来の感染症の一つで、発熱やリンパ節の腫れをおこす

Q.60歳、男性。子猫をもらい、初めて動物を飼うことになりました。飼育本を読んでいたら「猫ひっかき病に注意」とあり、ひっかかれた腕の傷を見て不安になりました。どんな病気でしょうか?5歳の孫もいるので心配です。猫を飼うとき注意することなどを敢えてください。(岡山県 H)

A.「猫ひっかき病」は、名前のとおり、猫によるひっかき傷や咬み傷が原因で、リンパ節腫大(腫れ)や発熱を生じる感染症です。病原体は、猫ノミが保菌している”バルトネラ・ヘンセレ(グラム陰性桿菌:いんせいかんきん)〟という細菌です。

猫ノミから感染した猫の歯牙や爪で受傷し、感染するというわけです。

典型例では、受傷後数日~2週間後に受傷部位の皮膚に隆起した赤紫色の発疹を認め、膿疱や痂疲(かさぶた)を形成することもあります。さらに、数日~数週間後に受傷部位の所属リンパ節の腫れがみられます。痛みを伴うこともあります。受傷からリンパ節腫大までの潜伏期間は4~50日(平均19日)。

リンパ節腫大の部位はわきの下がもっとも頻度が高く、鼠径部(脚のつけ根)、頸部の順にみられ、数週~数カ月(平均44日)持続します。

38度以上の発熱は3~4割の症例に認められますが、感染症としての全身症状は一般的に軽く、発熱も数日で解熱します。

動物由来感染症に関する正しい知識と理解を身につけておく

治療は、抗菌薬を使用することで、症状の軽減や病期の短縮が期待できます。クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ミノサイクリン、シプロフロキサシンなどが有効です。

一方、治りにくいときは注射針を使って、腫大したリンパ節から膿汁を吸引する治療法が行われることもあります。

猫ひっかき病のもっとも有効な予防法は、猫による外傷を避けることです。とくに子どもは、じやれ合う機会が多いので、注意してあげてください。また、飼育環境を清潔にし、猫ノミ対策をしっかりしておくことも重要です。

万が一、皮膚症状やリンパ節の腫れ、発熱がみられた場合は、内科(できれば感染症内科)を受診してください。その際、猫を飼っていることを伝えると、より的確な治療が受けられ、回復も早まります。

ところで、ペットなど身近な動物から感染する病気”動物由来感染症”は、猫ひっかき病だけではありません。ペットと健康で快適に生活するためにも、動物由来感染症に関する正しい知識と理解を身につけておくことが必要です。

回答:姫野病院名誉院長 吉田博先生

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