「原発性胆汁性肝硬変」とはどんな病気ですか?

比較的軽症な肝臓の病気で、自己免疫疾患の一つ

Q.48歳、女性。高血圧で通院中、定期的に受けていた血液検査で「原発性胆汁性肝硬変」が見つかりました。とくに自覚症状はないのですが、将来、肝硬変に至るのではと、不安です。どんな病気で、今後どのような経過をたどるのでしょうか? また、生活上の注意点などを教えてくだきい。 (東京都 F)

A.「原発性胆汁性肝硬変」といわれたのですね。実はこの病気は、2016年「原発性胆汁性胆管炎」という病名に変わりました。

「肝硬変」とあるため、進行した肝臓の病気である印象を受けますが、実際は、患者の多くが比較的軽症なので、誤解を招かないように病名が変更されたわけです。英語名は「Primary Biliary Cholangitis」」で、頭文字を取って「PBC」と呼ばれています。

胆汁は肝臓でつくられ、胆管という管を通って十二指腸に到達し、脂肪やビタミンの吸収に重要な役割を果たしています。PBCでは、肝臓の細い胆管に炎症がおきて胆汁が流れにくくなり、肝臓にたまって障害を引きおこしてしまうのです。リウマチなどと同様、免疫の異常でおこる病気で、自己免疫疾患の一つとされています。中年以降の女性に多くみられる病気です。

胆道系酵素と呼ばれるALPやγ-GTP(y-GT)の値が上昇するため、ご相談者のように血液検査で見つかることが多いようです。

PBCはALPやγ-GTPの異常以外に症状がない「無症候性」と、かゆみや黄疸、腹水などの症状がある「症候性」に分類されます。患者10人のうち8人は、無症候性です。このうち、症候性に移行する人が4人に1人程度いますが、残りは、無症状のまま病気が進行せず経過します。

症候性の場合は、皮膚の強いかゆみがあったり、進行すると黄疸が出たり、腹水がたまることがあります。食道静脈瘤ができ、破裂して出血することもあります。また、関節リウマチや甲状腺の病気、シエーグレン症候群など、ほかの自己免疫性の病気を合併するケースもあります。

完治は難しいが、服薬で日常生活は普通に送れる

PBCの治療薬としては、一般的にウルソデオキシコ-ル酸が使われ、服用すると多くの場合、ALPやy-GTPが低下します。症候性の場合は、さらにそれぞれの症状に対しての治療が行われます。かゆみに対しては、最近、新しい薬が登場し、治療の選択肢がふえています。出血のリスクがある食道静脈瘤に対しては、予防的に内視鏡治療を行います。病気が進行して肝不全になった場合には肝移植が必要になる場合もあります。

いずれも完治は難しいですが、とくに無症候性の場合は、定期的な通院と服薬をつづけていけば、安静にしている必要もなく、普通の生活で問題ありません。

また、PBCは難病に指定されており、症候性の場合は医療費の一部が助成されます(無症候性の場合は対象外)。詳しくは主治医にご相談ください。

回答:東海大学医学部内科学系消化器内科教授 加川建弘先生

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加