脳血管ドック

まだ症状のない段階で見つけることが目的

くも膜下出血や脳梗塞などの脳の血管の病気は、前触れもなしに、ある日突然襲ってきます。自分では気づきにくい脳の血管の異常を調べる検査を行っているのが脳血管ドックです。

脳の動脈にできた瘤のようなふくらみを「脳動脈瘤」といい、これが破裂すると、脳のくも膜に出血が広がり、くも膜下出血がおこります。また、血栓やプラーク(動脈硬化性病変)が脳の動脈を塞ぎ、その先の細胞に血液が送られなくなると、脳梗塞がおこります。

このような脳の病気は、前兆があることは少なく、多くの場合、突然おこります。

帝京大学医学部附属病院の脳血管ドックでは、命にかかわったり、重い後遺症を残す恐れのある脳の病気の兆候を、まだ症状のない段階で見つけることを目的に、脳の血管の状態を調べる検査を行っています。

同ドックでは、まず既往歴や常用薬、家族歴、生活習慣(食生活、飲酒、睡眠時間、喫煙など)に関する問診票に記入し、身体測定、血液検査、尿検査を受けます。その後は、脳の画像検査が行われます。

「頭部MRA(磁気共鳴血管画像検査)は、磁気を使って脳の血管を見る検査で、脳動脈の狭窄・閉塞や脳動脈癌の有無を調べます。頭部MRI(磁気共鳴画像検査)は、脳の断面や立体的な画像を見て、脳梗塞や脳腫瘍の有無を調べます。また、首の頸動脈の超音波(エコー)検査や頸部MRAを行うことで、脳梗塞につながりやすい頸動脈の狭窄・閉塞や、プラークの性状もわかります」と、同ドックを担当する松野彰先生は話します。

脳の病気を見つけて、くも膜下出血の発生を未然に防ぐ

検査結果は当日に出て、担当医による説明や指導が行われます。検査の結果、脳血管や頸動脈の異常が見つかった場合には、同病院の脳神経外科へ申し送りされます。脳神経外科では、さらに詳しい検査を行い、治療が必要と判断されれば、治療方針が検討されます。

ただし、同ドックの検査で異常が見つかっても、その段階で脳の病気を発症するリスクが低ければ、経過観察となります。経過観察中は、受診者に、1年に1回程度、脳の検査を定期的に受けることをすすめています。

経過観察中でも生活習慣の見直しは必要です。たとえば、脳動脈痛がある場合は、高血圧や喫煙習慣があると破裂しやすいことが知られています。また、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、高脂肪・高塩分の食事、過度の飲酒、運動不足、喫煙などの生活習慣があると脳梗塞をおこす原因になります。

そこで、受診者の問診票を見て、生活習慣の指導を行ったり、生活習慣病の治療をきちんと受けることを病院ではすすめています。

くも膜下出血の発症には、この病気になったことのある近親者がいるかどうかも大きく関係しています。こうした家族歴のある人や、健診で血圧や血糖、脂質などの数値が基準値から外れている人は、脳血管ドックを受けるとその対策に役立つと松野先生は話しています。

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