ロコモの予防として行う「運動器ドック」

からだの動きにかかわる運動器が衰えるとロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)につながりやすく、要介護や寝たきりの状態になるリスクが高まります。慶應義塾大学病院予防医療センターの運動器ドックでは、将来のロコモ予防を主な目的として、さまざまな運動器の状態を調べ、異常が見つかった場合には現在の状態を改善するためのアドバイスを行っています。

胃や関節、筋肉の状態を調べ、ロコモ対策の指導を行う

運動器とは、骨や関節、筋肉、神経などの総称で、これらが連携して働くことによってからだを自由に動かすことができます。ロコモとは、運動器の障害のために筋力やバランス能力が低下し、転倒や骨折をおこして介護が必要になったり、寝たきりになったりする危険性が高い状態をいいます。

慶應義塾大学病院予防医療センターでは、一般の人間ドックのオプションメニューとして「運動器ドック」を開設し、専門的な検査と診断を行っています。同ドックの担当医である石田浩之先生は、「日ごろから運動器の状態を知っておくことは、健康に年を重ねていくための大切なポイント」といいます。

同ドックを受診した人は、まず、ロコモの兆候を探るための問診票に記入したあと、次のような検査を受けます。

●骨(腰椎・膝関節)X線…腰椎と膝関節の状態を調べます。

●腰椎MRI…腰の骨や靭帯、筋肉、神経などを調べる検査で、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、脊椎圧迫骨折などの発見に有効です。

●骨密度・体組成(筋肉量・脂肪量)測定…X線で腰椎や大腿骨頸部の骨密度を測定し、骨粗しょう症や骨折の危険性を調べます。また、全身の体脂肪率、腕や脚の筋肉量も測定します。

●握力測定…左右の握力を測定します。

「後日、検査データにもとづいて、担当医が、腰椎や膝関節の老化度や骨折のリスクなど、現在の状況を受診者に詳しく説明します。たとえば、検査で異常が見つかり、すでに腰や膝に痛みなどの症状のある人には、当院の整形外科などの外来を紹介することもあります。受診の必要はないものの検査でロコモの兆候が見つかった人には、ロコモ予防・改善のための基本的な体操や食事など、ロコモ対策のアドバイスを行っています」(石田先生)

さらに、同ドックでは、受診者が希望すれば、運動負荷試験などの詳しい検査を受けることもできます。

石田先生とともに外来を担当している東宏一郎先生は「運動器ドックの結果をもとに、実際にどれくらい動けるか・動いているかについて筋力・全身持久力などの体力を詳細に調べます。そのうえで、ロコモをはじめとした疾患予防はもちろん健康・体力向上のための一人ひとりに合った個別の運動メニューを提案します」と話しています。

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