胃がん対策のキーワードはピロリと検診

胃がんを発症する主な原因は、胃の中にすみつくピロリ菌の感染であることが明らかになっています。胃がん予防を目的にピロリ菌の除菌治療が行われていますが、除菌しても定期的に胃がん検診を受けることが欠かせません。ピロリ菌への対策や、胃がんを見つけるための検査について紹介します。

衛生環境の悪い時代に生まれた中高年世代の感染者が多い

胃がんは日本人に多いがんで、全部のがんのなかで、死亡率は第3位、罹患率(新たにがんと診断された人のうち、胃がんの占める割合)は第2位にあげられています。近年の研究により、胃がん患者の大半がヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)という細菌に感染していることがわかってきました。

ピロリ菌が胃の粘膜の中に長くすみつづけると、ピロリ菌がつくり出す毒素やアンモニアによって胃の粘膜に炎症がおこります(ピロリ感染胃炎)。この状態を放置していると、やがて胃の粘膜の細胞が壊れ、萎縮性胃炎へと進行していきます。この萎縮性胃炎は、いわば胃の粘膜の老化が速く進んだ状態です。

萎縮性胃炎がさらに進行すると、胃の粘膜は発がん物貿の影響を受けやすくなり、胃がんを発症する危険性が高まります。

ピロリ菌は、感染した人の口や便などから出たものが、ほかの人の口に入るのが主な感染ルートです。5歳未満で感染することがほとんどで、感染者は上下水道が十分に整っていなかった時代に生まれた人に多く、衛生環境が改善した現代では、若い世代の感染率は低くなっています。

ピロリ菌に感染すると、さまざまな消化器の病気を引きおこす

ピロリ菌と胃がんの関係に詳しい国立国際医療研究センター国府台病院院長の上村直実先生は、「胃がんの原因がすべてピロリ菌というわけではなく、ピロリ菌に感染していなくても胃がんを発症することばあります。また、ピロリ菌に感染しているからといって、必ず胃がんを発症するわけでもありません。」と話します。

これは、同じ感染者でも、胃の粘膜の老化が進むスピードに個人差があるからです。しかし、これまでの多くの研究結果から、ほとんどの胃がんは、ピロリ感染胃炎が原因であることは間違いありません。

胃がんのリスクとして、塩分のとりすぎや喫煙習慣が知られていますが、ピロリ菌の感染に加えてこれらの生活習慣があると胃がんを発症しやすく、ピロリ菌に感染していなければ、これらの生活習慣があっても胃がんになりにくいのです。

ピロリ感染胃炎は、胃がんだけでなく、胃・十二指腸潰瘍や機能性ディスペプシア、胃食道逆流症など、さまざまな病気を引きおこすことがわかっています。とくに中高年の人は、ピロリ菌の検査を受けることを村上先生もすすめています。

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加