感染症予防のための「渡航ワクチン外来」

旅行をはじめ、仕事での赴任や出張などで、多くの人が海外に出かけています。渡航ワクチン外来では、そんな海外渡航を予定している人を対象に、感染症予防のためのワクチン接種を行っています。

渡航先などに合ったワクチン接種を受けて、万一に備える

海外では、日本国内で感染する恐れのまずない感染症が多く発生しています。命にかかわる感染症や、治療法が確立していない感染症もあります。すべての感染症にワクチンがあるわけではなく、また接種したからといってその感染症を必ず予防できるわけではありませんが、少なくとも感染するリスクを下げることはできます。

感染症の予防ワクチンを受ける目的について、横浜市立市民病院感染症内科の「渡航ワクチン外来」を担当している吉村幸浩先生は次のように話します。

「渡航する本人が感染症にかからないように予防することはもちろん、周囲にいる人への感染拡大を防ぐことも目的の一つです。また、日本でもみられる風しんやおたふくかぜなどのワクチンを受けていれば、国内での感染予防にも役立ちます」

A型肝炎など、海外の食べ物や水を介して感染する病気は比較的知られていますが、蚊やダニを介したマラリアが発生している地域や、狂犬病が流行している地域もあり、渡航前には十分な対策が必要です。同外来では、ワクチン接種のほか、マラリアと高山病を対象に、内服の予防薬も処方しています。

「狂犬病は、イヌだけでなく、ネコ、サル、コウモリ、アライグマ、キツネ、ラクダなどからも感染するため、現地での接触を避けることが大切です。もし、これらの動物にかまれたら、迅速に現地の医療機関を受診し、事前にワクチンを接種していなければ、狂犬病ワクチンの接種をしてください」

適切な感染予防を心がけることが大切

同外来を受診した人は、渡航先や滞在期間、渡航の目的、健康状態などを担当医に話し、接種するワクチンを相談して決めます。

「海外渡航とひと口にいっても、海外に出かける目的は人それぞれです。たとえば、都市部で有名建築を見学するといった観光旅行なら、感染症にかかるリスクは比較的低いといえます。しかし、農村部などの学校や児童養護施設でのボランティア活動に出かけるなど、地元の人たちとも密接にかかわる渡航をする場合は、感染症の発生リスクは非常に高くなります。そのため、問診では、渡航の内容や目的について詳しく聞いています」

吉村先生は、渡航する予定のある人に次のようなアドバイスをしています。

「海外渡航先の感染症発生状況に関する情報を事前に人手し、適切な感染予防を心がけることが大切です。また、ワクチンの効果が現れるまでに2週間程度の時間を要し、複数回接種が必要なワクチンもあるため、早めに受診することも大事です。その際、母子手帳など、過去に受けたワクチンの接種歴がわかるものがあれば持参してください」

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