LDLコレステロール値だけが高いのは問題?

Q.51歳、女性。健診ではいつもLDLコレステロール値だけが高く、190mg/dL前後あります。HDLコレステロール値と中性脂肪値はともに正常範囲内です。LDLだけが高いのには、何か原因があるのでしょうか? 現在はとくに診察も治療も受けていませんが、放置していて大丈夫ですか? (滋賀県 S)

遺伝が原因でおこる「家族性高コレステロール血症」が考えられる。早めに検査を

A.LDLコレステロール(以下LDL-C)だけが190mg/dL前後といつも高いことから、LDL-C値が遺伝的原因で異常に高くなる「家族性高コレステロール血症(FH)」が疑われます。

通常LDLは、細胞表面のLDL受容体によって細胞内に取り込まれますが、家族性高コレステロール血症では、LDL受容体やその関連遺伝子に異常があるため、LDLは細胞に取り込まれずに血液中にとどまり、LDL-C値が著しく高くなってしまいます。そして、ふえたLDL-Cは血管壁にたまり、動脈硬化を引きおこします。

家族性高コレステロール血症の人は生まれつきLDL-C値が高いので動脈硬化も早くから進み、動脈硬化が原因でおこる狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患を、若年で発症するリスクが高くなります。男性では20代、女性でも40代から発症します。家族性高コレステロール血症は治療せずに放置すると、動脈硬化が全身に進行する非常に怖い病気なのです。

絶対に放置せず、専門医を早く受診して治療することが必要

家族性高コレステロール血症が疑われる目安は、LDL-C値が180mg/dL以上、黄色腫の有無、家族歴(家族性高コレステロール血症や早発性冠動脈疾患になった家族がいる)の3項目のうち、2項目以上が当てはまる場合です。アキレス腱肥厚(黄色腫)は特徴的な所見です。

また、若いころからLDL-C値が高いといわれている人はとくに可能性大です。ご相談者もLDL-C値が高い以外に当てはまる項目があれば、絶対に放置せず、専門医を早く受診し、治療することが必要です。

受診の際は、採血・身体所見に加えて、前述の3項目などが問診されます。冠動脈疾患や頸動脈硬化の有無も検査されます。

家族性高コレステロール血症と診断されたら、禁煙とともに食事療法(適正体重維持とコレステロール摂取制限)や運動療法を行います。遺伝性のためLDL-C値は下がりにくいので、薬物療法も早期に開始します。最近は、LDL受容体に働きかけてLDL-C値を下げる抗体注射も登場しています。

家族性高コレステロール血症は早期診断、早期治療により対処可能な病気です。日本動脈硬化学会のホームページでは家族性高コレステロール血症専門診療施設も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

回答:大阪大学大学院医学系研究科総合地域医療学寄附講座・循環器内科学講座特任教授 山下静也先生

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