突然おこった円形脱毛症に悩んでいるます。病気について教えてください

Q.55歳、男性。先日、耳の横上に10円玉サイズぐらいで頭髪がごっそり抜けている部分があるのに気が付きました。幸い髪に隠れて目立たないので、そのままにしていますが、脱毛が広がらないか心配です。このところ事が多忙で睡眠不足がつづいていたので、それが原因でしょうか?ストレスが減れば、また生えてくるものか、それとも治療が必要ですか?そもそも円形脱毛症とはどのような病気ですか?(群馬県 K)

自己免疫反応で発症、ストレスは誘因に。自然回復もあるが、皮膚科専門医に相談を

円形脱毛症は、突然髪の毛が抜ける病気で、性別や年齢に関係なくおこります。

円形の脱毛斑(病変)が1カ所のみの「単発型」や複数ある「多発型」、頭部全体に及ぶ「全頭型」、全身の毛が抜ける「汎発型」、生え際が脱毛する「蛇行型」、一気に頭部全体が脱毛してすぐ改善する「急性びまん性全頭型」など、さまざまな型があります。

まつ毛や眉毛、髭、すね毛だけが脱毛したり、爪の表面がガサガサになることもあります。橋本病やⅠ型糖尿病、潰瘍性大腸炎など、ほかの免疫疾患を合併することもあります。

現在、病気の原因は、毛の組織に対する自己免疫反応と考えられています。細胞傷害性Tリンパ球が毛球部の組織を攻撃して炎症反応をおこし、脱毛が発症します。標的となるのは主にメラニン産生にかかわる酵素やたんばく質です。

メラニン産生は成長期の毛で行われるため、黒々と伸びている毛髪が円形脱毛症をおこしやすいと考えられます。そのため、脱毛病変部に白髪だけが残ったり、回復時に白髪で生えてきたりする患者さんをよくみかけます。

こうした自己免疫反応をおこすきっかけは、ウイルス感染や疲労、外傷、精神的なストレスなどです。ご相談者は仕事が多忙で睡眠不足であったとのことなので、そうした肉体的な疲労がきっかけになった可能性が十分にあります。

また「きっかけ」から「毛球部への自己免疫反応」を来す背景に、円形脱毛症になりやすい体質が関係していることもあります。

治療としては、ステロイド薬やカルプロニウム塩化物などの塗り薬のほか、ステロイド局所注射や局所免疫療法なども選択肢にあがります。ただし、汎発型や蛇行型といったタイプは難治性で、10年以上症状がつづくことも珍しくありません。

社会生活に障害となることもあり、現在、新たな治療法の研究と開発が進んでいるところです。いずれも重症化すると治りにくくなるので、早めに治療を開始することが重要です。

ご相談者のような早期で軽症であれば自然と回復することもありますが、拡大したり、多発してくることも考えられます。また、再発も少なくありません。正しい診断・治療を受けるためにも、まずは皮膚科専門医にご相談ください。

回答:浜松医科大学皮膚科病院教授 伊藤秦介先生

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